北米の小説、詩、戯曲、評論、伝記など言語芸術、いわゆるアメリカ文学の作品や作家に関する
情報を扱う雑記帳です。関わりのある映画や音楽、ときには別の地域の作家なども扱います。
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ハーパー・リー: To Kill a Mockingbird
To Kill a Mockingbird

 映画 Capote には、主人公トルーマン・カポーティの相棒とし
 て登場する女性がいます。映画の宣伝によるとハーパー・リー
 (Harper Lee) さんという、女性らしくない名前で、カポーティ
 の幼なじみ、そして同業者です。

 リーさんの著作で本になっているのは To Kill a Mockingbird [モノマネ鳥を殺すこと] という長編だけです。

80年代にさかのぼる個人的な話ですが東京にある大きな書店の洋書売り場などで原書の表紙は見たことがあり、この小説の名前は覚えていました。でも、アメリカ文学史の本にハーパー・リーさんのことは詳しく出ていませんでした。大学院で米文学を専攻するばあい、入学試験で米文学史が出題されるので、大抵は米文学史の本を通読します。僕は大学院を5回受験し、米文学史は何種類かの本を何度も通読したんですが、とにかくこの作家については記憶に残っていませんでした。

日本語訳が『アラバマ物語』という、原作とは全く違う題名で出版されていることは知っていました。

90年代に入り、インターネットを利用するようになり、米国の高等学校や大学で文学を教えている人たちのメーリング・リストに参加するようになると、この作品がときどき話題に挙がるので、米国での知名度を再認識するようになりました。歴史や教育学の授業などで、教材として使われることもあるようです。

とにかく読んでみようと思い、上記リンクのペーパーバックを取り寄せました。

話の内容について予備知識が全く無かったことで、かえって謎解きの様な面白さを味わうことができました。たとえば、注意して読めば分かるんですが、2頁めに登場するアティカスという弁護士が語り手にとってどういう関係の人物か、しばらく分かりませんでした。とにかく、語り手の子はまだ小学校に通い始めていないのに、この弁護士をアティカスと呼び捨てにしているのです。

米国ではそれが珍しくないと今では言えるかもしれませんが、物語の設定である当時の南部の町では、そういう言葉づかいが大人たちから顰蹙を買うことも、読んでいくうちに少しずつ分かってきました。

主人公が誰なのか、物語の主軸がどこにあるのかも分からないまま何章も読んで行きました。語り手の子も、自分たちの暮らしている土地がどういう場所でどういう問題を抱えているのか、自分たちの一家が地域や親類からどう見られているのか、少しずつ理解していきます。

この長編小説は映画化され、アカデミー賞も取り、DVDも日本で発売されています。それでも、もし英語に自信がある人なら、映画を観ず、いきなり原書を読んでみるのも面白いでしょう。途中まで読んでから映画を観るのも良いかもしれません。翻訳が読みやすそうなら、とにかく前半を読んでみるのも良いでしょう。知らない世界へ飛び込んでいく代理体験の中で少しずつ謎が解けていくときのわくわくするような面白さを味わえます。

Harper Lee, To Kill a Mockingbird

| カポーティを追いかけて2005 | 08:36 | comments(2) | trackbacks(0) |
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| - | 08:36 | - | - |
 苦節3年、ようやく読了しました。しかし、すごい小説ですね。表現ののうまさ、ストーリーの展開、内容の深さには脱帽です。なぜこれほどまでの作品の知名度が日本で低いのかryotaさんならずとも疑問に思うところです。

 実は小生の少年期、家で購読していた「暮らしの手帖」にはいつも「アラバマ物語」の本の広告が掲載されていました。そこにはダンディな男性とオーバーオールの少女の姿がありました。今にして思えばあれは映画のスチール写真でグレゴリー・ペックとルイーズ役の少女でした。無知な私は大自然の中の牧歌的物語と勘違いしていました。

 貴殿のブログで‘To Kill a Mocking biird‘が原作と初めて知りペーパーバックを購入し辞書を片手にボチボチと読んでいました。何年も前にNHKで「アラバマ物語」が放映された際、ちらりと見ただけでとりあえず録画し、そのままにしたテープがあります。読了を機にゆっくり見て見ようと思います。

 Ryotaさん、素晴らしい小説を教えて頂きありがとうございました。読んでみて自分の幅が少し広がった気がします。(気のせい?)
 
 随分と昔のテーマについてのコメントです。ブログの構成上も問題があると思えます。また私の感想だけが続くと排他的にもなります。このコメントは貴殿への感謝の私信としてお受け取りください。掲載不要です。
暑さ厳しき折、御身御大切に。       numa
| | 2010/08/09 9:05 PM |
この作品、ことしが出版60周年なので、いま米国では話題になっています。このブログでもまた採り上げるつもりでおります。

そして、熱さの中に爽やかさも感じられる numa さんのコメントですから、公開をお許し下さい。
| Ryotasan | 2010/08/11 6:21 PM |









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