北米の小説、詩、戯曲、評論、伝記など言語芸術、いわゆるアメリカ文学の作品や作家に関する
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ある貴婦人の肖像: 常識はずれのBBCドラマ
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¥ 4,000
コメント:渋いというか、地味というか、映画的な見せ場の殆ど無いだが、上品な英会話は味わい深い。

BBCで1968年に放映されたというこの4時間に渡る映像版『ある貴婦人の肖像』(The Portrait of a Lady) を観て驚きました。

JUGEMテーマ:映画
 
小説や舞台劇を映像化するときって、一般には、動きのある展開になる様に配慮することが多いと私は思います。長い原作を短い上映時間内におさめる必要があるときでも、わざわざ移動の場面を加えたり、室内での会話を歩きながらの会話に変えたりするのです。そうすることで、視聴者も登場人物と一緒に旅をしながら物語の中に入って行きます。

この長時間ドラマは、そういう場面が皆無です。米国で生まれ育った若い女性が欧州へ行くことになり、船で大西洋を渡って英国の親類を訪ね、欧州の名所旧跡を訪ね、英国人や、欧州に長く住んでいる米国人と出会い、誰と結婚するかという話に発展して行くロマンティックな話ですが、長い旅をしていることは登場人物のセリフから推測できるのみです。出演者たちが見せる最も激しい動きは社交ダンスです。

初めてのヨーロッパに主人公イザベル・アーチャーは胸をときめかせているはずですが、海も山も街なみも画面には出て来ません。全ての場面がスタジオ内で撮影されており、その殆どは狭い室内です。視聴者がイザベルと同じ気分に浸るには、積極的に想像力をはたらかせる必要があります。

又、ヘンリー・ジェイムズ (Henry James) の小説では、この作品に限らず、アメリカとヨーロッパの違いを重視することが多いです。それもこのドラマでは希薄です。アメリカ娘イザベルも、イザベルを追ってアメリカからやって来る実業家キャスパー・グッドウッドも、話している英語は、英国の人たちと違いが無い様に私の耳には聞こえます。アメリカ風の発音をしているのは女性の新聞記者だけだと思います。英国そだちのラルフ・タチェットという男性を演じているリチャード・チェンバレンさんはアメリカ出身ですが、逆に立派なイギリス英語を話している様に思えます。

万事がこういう調子で、渋いというか地味な映像作品です。こんなに地味な劇映画は観たことが無いと言うぐらい地味なんです。

それでも、私にとって、観るのが苦痛というほど退屈ではなかったです。

一つは、放送時間にあわせて40分ずつに区切られているせいだと思います。1日40分で六日間の連続ドラマとして鑑賞し易いのです。

もう一つは、出演者たちの演技力が確かなせいだと思います。声の抑揚と顔の表情に注意していると、難解な原作よりも理解し易い様に感じられました。前半は平板なんですが、後半の3回になると演技も乗って来た様で、劇的な場面も多くなります。(字幕は日本語のみですが、字幕なしの設定もできます。)

登場人物の性格は、ほぼ原作どおりに描かれています。キャスパーはやや大人しく、パンジーという女の子は年が上かもしれませんが、大きく踏み外してはいないでしょう。長くて難しい原作の内容を4時間で手っ取り早く知ることはできると思います。

このDVDを観る人は最後に注意して下さい。終わりのクレジットの後に、少しだけエピローグがあります。

BBCで映像化された『ある貴婦人の肖像』は、原作に忠実な渋いドラマです。
| 舞台と銀幕の米文学 | 20:15 | comments(0) | trackbacks(0) |
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