北米の小説、詩、戯曲、評論、伝記など言語芸術、いわゆるアメリカ文学の作品や作家に関する
情報を扱う雑記帳です。関わりのある映画や音楽、ときには別の地域の作家なども扱います。
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戯曲: 怒りの葡萄
コメント:『怒りの葡萄』の基づく舞台劇。

ジョン・スタインベック (John Steinbeck) の長編小説『怒りの葡萄』(The Grapes of Wrath) は映画や歌劇のほかに舞台劇もあります。フランク・ギャラーティさんによる台本が書籍になっているので、読んでみました。
この作品は、1988年にシカゴでステッペンウルフ劇団が初演し、89年にカリフォルニア州ラホーヤと英国ロンドンでそれぞれ地域の劇団が上演しました(6)。90年にはニューヨークのブロードウェイで、シューバート劇団、ステッペンウルフ劇団、サントリー、ジュジャムシン劇場の4団体が協力して上演しました(5)。トニー賞を受賞しています。

2幕構成ですが、途中で緞帳をおろしたりせず、語りや照明などで場面が変わったことを伝える方式になっています。上演のための資料も豊富に収録してあります。ニューヨークでは舞台に本物のトラックを置いたり水を流したりなど大がかりな演出を行ないましたが、シカゴで行なわれた初演ではむきだしの舞台に木製のトラックを置いただけだったそうです。そのような低予算での上演も可能だと脚本家は行っています(8)。舞台には4人の音楽家も出演し、ギター、フィドル (ヴァイオリン)、ハーモニカなどの生演奏も交えて劇は進行します(6)。歌の場面もあります(28)。

第1幕はトム・ジョードの帰郷から一家がカリフォルニアの盆地に着くまでです。第2幕はカリフォルニアの難民キャンプから原作の最後までです。派遣村を思わせる難民キャンプで行なわれるダンス・パーティの場面も少し入っています。映画では割愛されていたショッキングで感動的な結末もあります。母親とロザシャーンが行なう無言のやりとりは、台本を読んでいるだけでも泣けました。

英語は上級者むきでしょう。ほとんどの台詞が、原作と同じように方言です。ウディ・ガスリーやブルース・スプリングスティーンさんの歌にも使われたトムの台詞は、こんな風になっています:

TOM.  Well, maybe like Casy says, a fella ain't got a soul of
his own, but on'y a piece of a big one ― an' then ―
MA.  Then what, Tom?
TOM.  Then it don' matter.  Then I'll be all aroun' in the
dark. I'll be ever'where ― wherever you look. Wherever they's
a fight so hungry people can eat, I'll be there. Wherever they's
a cop beatin' up a guy, I'll be there.  An' when our folks eat
the stuff they raise an' live in the houses they built ― why,
I'll be there.  See?  God, I'm talkin' like Casy.
MA.  I don' un'erstan'. I don' really know.
TOM.  Me neither. It's just stuff I been thinkin' about. (78)

僕はジョン・スタインベックの小説を沢山読んできたわけではありませんが、何冊か読んだことのある範囲では、朗読して味わいたい名文が沢山ある作家だなと思っています。それが客観的な文章のばあいも、方言による会話のばあいもあります。この戯曲は、『怒りの葡萄』の中で朗読むきの箇所を選び出し、まとまった形で鑑賞できるようにしてある作品です。

参考資料
Galati, Frank. John Steinbeck's The Grapes of Wrath. New York: Dramatists Play
     Service, 1991.
| 続: スタインベックと騎士たち | 07:54 | comments(0) | trackbacks(0) |
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