北米の小説、詩、戯曲、評論、伝記など言語芸術、いわゆるアメリカ文学の作品や作家に関する
情報を扱う雑記帳です。関わりのある映画や音楽、ときには別の地域の作家なども扱います。
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DVD: 回転 ジェイムズ原作、カポーティ脚本の映画
ウィリアム・アーチボルド,トルーマン・カポーティ
コメント:The Innocents. 原作: ヘンリー・ジェイムズ. 主演: デボラ・カー. 美しい恐怖。

トルーマン・カポーティが脚本家としてクレジットされている映画は二つあり、これは新しい方の作品です。


アメリカ文学に関心がある人にとって興味ぶかいのは、この映画の原作が、19世紀後半から20世紀はじめにかけて活躍した文豪ヘンリー・ジェイムズ (Henry James) によって書かれたことです。

ジェイムズが本気で書いていたのは米国と欧州のあいだに横たわる文化の違いによって起きる葛藤や、微妙な意識の流れを追求する小説です。それに比べると、この映画の原作になった『ねじの回転』(The Turn of the Screw) という幽霊物語は、遊び半分かお金のために書いた小説という面が強いかもしれません。それでも、心理小説の大家らしく、曖昧で濃密な文章を駆使しながら読者を最後まで引っ張って行く手腕はカポーティも賞賛していました。それで脚本の執筆を買って出たというわけです。

考えてみれば、カポーティが最初に発表した長編『遠い声、遠い部屋』(Other Voices, Other Rooms) に漂う不気味なゴシック風の雰囲気も、『ねじの回転』を参考にした結果なのかもしれないです。

この映画は白黒ですが、木もれ日のゆれる薄暗い森や水の反映、小鳥のさえずりなどが美しく、それが幽霊の恐ろしさを引き立たせています。ただし、首や内蔵が飛んだり、血が噴き出すなどのホラーな場面は無いです。せりふの英語は、原作の拡張高い雰囲気を壊さずに、分かり易い会話にしてあります。英語の発音は丁寧なブリティッシュです。

拡張高い英語に加えて、最後の場面で男の子が放校処分の理由を語る箇所などはカポーティらしさもうかがえます。この男の子にカポーティ自身の姿が投影されているようです。

監督のジャック・クレイトンは、1949年にカポーティが脚本を担当した『悪魔をやっつけろ』(Beat the Devil) の副lプロデューサーをつとめ、『回転』のあと1974年には『華麗なるギャツビー』(The Great Gatsby) の監督もしています。

映画としては優れた作品ですが、このDVDの問題点も挙げておきましょう。まず、画質はVHSなみです。それから値段は税込みで5,040円です。音声は英語のみ、字幕は日本語のみです。

商品としてお薦めな点は、詳しい解説の小冊子が付いていることと、映像特典としてカラーの静止画像が何枚かDVDに収録されていることです。静止画像の殆どは可愛らしい子どもたちですが、幽霊の画像も少し入っています。
| カポーティを追いかけて | 22:09 | comments(0) | trackbacks(0) |
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