北米の小説、詩、戯曲、評論、伝記など言語芸術、いわゆるアメリカ文学の作品や作家に関する
情報を扱う雑記帳です。関わりのある映画や音楽、ときには別の地域の作家なども扱います。
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スタインベックとキャメル: 米文学とブリティッシュ・ロック
キャメル
コメント:プログレッシブ・ロックで表現する未来的な『怒りの葡萄』

大恐慌と砂嵐で土地を失った農民たちの苦難を描いたジョン・スタインベックの長編小説『怒りの葡萄』(The Grapes of Wrath) に関わりのあるフォークソングやロックやオペラの作品を、このブログで紹介してきました。今回は英国出身のバンドです。

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1950年代に若い人たちのあいだで流行したロックンロールは、60年代にフォークやポップスと融合しながら発展し、単にロックと呼ばれるようになり、70年代にはいくつかのサブジャンルへと広がっていきました。プログレッシブ・ロック、通称プログレは、70年代に流行したそういうサブジャンルの一つで、特に英国や欧州から沢山のグループが登場し、日本でも熱心に聴かれました。叙情的な旋律、鍵盤楽器の多用、文学的な歌詞、長大で幻想的な楽曲などが特徴です。そういうプログレッシブな音楽を発表し、70年代の英国で活躍したバンドの一つがキャメル (Camel) です。

『ダスト・アンド・ドリームス: 怒りの葡萄』(Dust and Dreams) は、80年代後半に全く新作を発表しなかったキャメルが1991年に発表したアルバムです。このバンドの公式頁によると、1985年にバンドは解散し、音楽事務所やレコード会社との契約も切れ、ギターとヴォーカルを担当していたアンドリュー・ラティマーさんが一人で活動するプロジェクトとしてキャメルは続いたようです("Timeline," Camel Productions)。新しいレコード会社さがし、米国移住などを経て『ダスト・アンド・ドリームス』の製作は続きました(同上)。

アルバムの内容は『怒りの葡萄』を題材にしたロック交響詩です。CDで60分を超える長さですが、もしLPレコードだったらA面とB面にそれぞれ8曲ずつ、あわせて16曲になります。A面というか前半は砂嵐の音で始まり、演奏だけの短い曲のあとに歌いりの曲が5・6分という組み合わせが交互に続く構成で、8曲すべて切れ目なしに演奏されます。B面というか後半は演奏のみで、これも8曲すべて切れ目なしです。

演奏は、まったくアメリカ的ではないし、アイリッシュ的でもありません。ヨーロッパ的な雰囲気のブリティッシュ・ロックです。一部の曲でオーボエやハーモニカも使われますが、全体としては電子鍵盤楽器や、音色を電気的に加工したピアノとギターが活躍するので、1930年代のアメリカを舞台にした物語というより、近未来SF映画のサントラ盤でも聴いている様な気持ちになる人もいるでしょう。といっても決して難解な音楽ではありません。(公式頁で視聴できます。英語で検索すれば動画も沢山見つかります。) こういう風にローカル色を排除した音楽による解釈を通し、『怒りの葡萄』がアメリカ合衆国だけに起こりうる物語ではないと感じることもできるでしょう。

CDには、表紙も含めて12頁の小冊子が付いており、写真と歌詞が印刷されています。収録されている5枚の白黒写真は米国の国会図書館に所蔵されている作品で、『怒りの葡萄』の世界を彷彿とさせます。

[追加: 歌詞の英語も紹介しておきますね。A面の2曲めです。]

It was the very edge of summer
the air was thin the sky more pale
Dusty roads I remember
Oh so well...

The winds of future blew around us
The owners came to tell their tale,
feelin' like a piece of paper
in a gale.

("Go West")



| 続: スタインベックと騎士たち | 20:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
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