北米の小説、詩、戯曲、評論、伝記など言語芸術、いわゆるアメリカ文学の作品や作家に関する
情報を扱う雑記帳です。関わりのある映画や音楽、ときには別の地域の作家なども扱います。
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タイタニックとJack ____on
タイタニック
 『米文学ブログ』という名前なのに、
 これまで映画や音楽や絵本や副読本ばかり
 紹介してきました。今週の記事はまたもや
 映画についてです。
 しかも、文芸作品を原作にした映画ではないし、
 作家が登場するわけでもないです。
 知られざる傑作でもなく、誰でも知ってる
DVD『タイタニック』を採り上げます。
この映画で注目したいのは、レオナルド・ディカプリオさんが演じている放浪の青年芸術家ジャック・ドーソンです。ケイト・ウィンスレットさん扮する名家の令嬢と恋に落ちるこの貧しい若者のモデルは、小説家ジャック・ロンドンなのです。

ドーソン (Dawson) というのは、アラスカで金鉱探しの拠点になった町の名前で、ロンドンもこの町に滞在したことがあるし、アラスカを舞台にしたロンドンの小説にもしばしば出てきます。The Call of the Wild [荒野の呼び声] に出てきたのを覚えている人も多いでしょう。

ロンドンはタイタニック号にこそ乗りませんでしたが、貧しい階層の生まれで、ジャック・ドーソンのように放浪生活をしていました。船乗りの経験もあり、サーフィンをハワイからカリフォルニアへ伝えた人物ですから、ドーソンの様に水泳は得意だったはずです。寒さや氷に詳しいことも、極北を舞台にした沢山の小説で証明されています。

ロンドンは、小説家志望の貧しい青年だったころ、裕福な育ちの女性と恋仲になり、結婚しました。この結婚は失敗に終わり、ロンドンはこの苦い経験をもとに、長編小説 Martin Eden [マーティン・イーデン: ジャック・ロンドン自伝的物語] を書きました。著者のロンドンがどうだったか分かりませんが、マーティン・イーデンはドーソンと同じように豪快なダンスが得意です。

又、ロンドンの小説には、ロンドン自身を彷彿とさせる超人的な人物がしばしば登場します。典型的な例は未来SF The Iron Heel [鉄の踵] に登場する労働運動の闘士アーネスト・エヴァーハードです。この人物は、やはり裕福な育ちの女性エイヴィスと恋仲になります。『タイタニック』の後半でローズと一緒に群衆の中を駆けめぐるドーソンはエヴァーハードを彷彿させます。

ほかにもDVD『タイタニック』を丹念に観察すれば、ロンドンの小説や伝記から着想を得たような箇所は見つかるかも知れません。

最後に、興味深い写真を紹介します。1枚目は謎の女性に自作の原稿らしきものを見せているロンドンで、2枚目は映画の中の1場面です。僕はこの写真を見たときに驚き、ネット会議室などで紹介したんですが、もしかしたら合成写真かも知れないと、あとで思うようになりました。もともとの出所が示されていないし、ロンドンの顔以外は指の角度や衣服のしわまでそっくり同じになっているからです。ジャック・ドーソンのモデルがロンドンであることはまず間違いないと思いますが、リンク先にある写真の真贋については、充分に観察した上で、皆さんがそれぞれ判断して下さい。

http://www.jack-london.org/05-mat-titanic_e.htm

もうすぐ4月1日ですね。




| 舞台と銀幕の米文学 | 20:04 | comments(2) | trackbacks(0) |
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| - | 20:04 | - | - |
先日は、コメントありがとうございました。
写真の真偽はともかく、興味深い記事でした。

P.J.ファーマーという米SF作家の作品に「リバーワールド」というシリーズがあり、これはかつて存在した人類すべてが一本の巨大な河辺に転生するという物語なのですが、この中にも主要登場人物としてジャック・ロンドンが選ばれていました。それで、海外のSFファンには、ジャック・ロンドンは結構人気があるのだと思っていて、だからキャメロン監督ならありそうだと考えたのです。Ryotasanの記事にもありますが、ジャック・ロンドンはSF小説も結構書いていますし。
そういえば、「マーティン・イーデン」の最後も、主人公が入水して死んでゆくんでしたね。
| shigeyuki | 2007/03/30 10:08 AM |
『リバーワールド』はマーク・トウェイン関係者のあいだで話題になっていました。僕はまだ読んでいません。ジャック・ロンドンは子どものころからエドガー・アラン・ポーの作品を愛読しており、ポーのSF的な側面を受けついだようです。高校生のときに書いた短編がポーそっくりで、しかもSFでした。SFに限らず、冒険ものが好きな人のあいだにロンドンの愛読者は沢山いるような気がします。『マーティン・イーデン』の結末は内緒にしておいたんですが、おっしゃるとおりです。超人的な人物が海に沈んでいく小説を他にもロンドンは書いており、沈む場面はそちらの方が『タイタニック』に近いと思います。(題名は内緒にしておきますね。)(^-^;)
| Ryotasan | 2007/03/31 9:13 AM |









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