北米の小説、詩、戯曲、評論、伝記など言語芸術、いわゆるアメリカ文学の作品や作家に関する
情報を扱う雑記帳です。関わりのある映画や音楽、ときには別の地域の作家なども扱います。
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ゲド戦記: 人物たちの肌の色
The Earthsea Cycle [地海系列: ゲド戦記] の第1巻と第2巻をもとにした長時間ドラマ Legend of Earthsea [地海伝説] は2004年12月に米国でSF専門のテレビ局から放送されました。愛読者と原作者にとっては期待はずれの出来だったらしく、原作者アーシュラ・K・ル=グウィンさんの文章がいくつかの雑誌に載りました。

原書の表紙に印刷されている絵を丹念に観察すると分かることですが、文章としては第2巻の後半以降になって徐々に明かされることがらについて、今回は書いています。原作を読む前に秘密を知りたくないというかたは、この先を読まないで下さい。
ル=グウィンさんがSFや幻想文学を書くときに拘ってきたことの一つで、2004年のテレビ映画でも期待はずれだったのは人種、つまり登場人物たちの肌の色です。

現在でも地球全体で見れば、白人、つまりコーカサス系というか欧州系の人たちは少数派です。未来の地球では今よりも人種混交が進んでいるはずなので、ほとんどは薄茶色か赤銅色、あるいは黒い肌になっているはずです。ル=グウィンさんもそういう人種構成で作品を書いてきました。

これはSF界において珍しいことだったそうです。米国でSFと言えば主人公と主要な人物のほとんどが白い肌ということになっていました。黒い肌の人物は背景の中に少し出てくるだけでした。ル=グウィンさん自身は白い肌ですが、さまざまな人種の暮らす米国の作家として、意識的に黒や褐色の人物を数多く登場させてきたのです。

1960年代、日常生活で差別を体験していたアフリカ系の読者にとって、主人公の肌の色は大切でした。大好きなSFの小説や映画の中で、地球人は白人ばかりという状況は、気持ちの良くないものでした。若い人たちの人種観にも影響を与えかねません。そういう状況でル=グウィンさんは意識的に人物の肌の色に拘り、表紙のデザインについて出版社と争うこともありました。

2004年のドラマは、原作からいくつかの名前と場面を借りただけの作品でした。原作では褐色の肌である人たちもほとんどは白い肌になっていました。唯一原作に忠実なのは、ゲドの師匠にあたる魔術師オギオンの役としてアフリカ系のダニー・グローヴァーさんが出演していることです。ただし、名前の発音は、原作者の意図と違う英語風のオジオンになっています。

不思議なのは、原作の中で数少ない白い肌の持ち主であるテナーの役を2004年のドラマで演じている美しい女優さんがなぜかアジア系であることです。いずれにしても、人種構成が原作とは大きく違っています。

ル=グウィンさんによる三つの記事へのリンクを示しておきますが、どれも主要な論点は同じです。

http://www.ursulakleguin.com/Earthsea-Thankyou.html
http://locusmag.com/2005/Issues/01LeGuin.html
http://slate.msn.com/id/2111107/
| クマさんの地海幻想 | 11:08 | comments(2) | trackbacks(0) |
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| - | 11:08 | - | - |
はじめまして。
とても興味深く読ませていただきました。
ありがとうございます。

#学生の頃、J・アービングとスタインベックが好きでした。
| | 2006/06/04 11:12 AM |
いらっしゃいませ。僕が学生のころ、ジョン・アーヴィングは現役の作家として注目度が上がりつつありました。文学史の教科書では、終わりの方に少し名前が出てくる程度でした。大学院生の頃、いくつかの作品が映画化されてまたまた知名度は上がりましたが、保守的な院生だったので読まずにいました。今、読んでみたい作家の一人に入っています。
| Ryotasan | 2006/06/07 2:25 PM |









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